終了しました
読み手に届く統合報告
経営デザインシートによる統合思考
開催要領
経営デザインシート活用の統合報告セミナー キックオフ
- 主催者:WICIジャパン
- 開催日時:(終了しました)
Day 1 2023年11月27日 18:30 – 19:40
Day 2 2023年11月28日 13:00 – 15:20 - 録画配信:2023年11月29日から2024年2月29日まで
- 開催場所:ZOOM, 録画配信(Vimeo)
- 対象:経営者、社内外取締役、事業会社、金融機関、官公庁、制作(支援)会社、コンサルタント、監査法人、社会人、学生
- 対象部門:統合報告に直接関与する部門の他、経営企画、広報、IR、人事、サステナビリティ| ESG、知的財産、財務・経理、法務、生産、その他総務・コーポレート部門、その他事業部門など多様な部門からのご参加を期待しています。
- 募集人数:200名以内
- 受講費用
非会員・一般: 1アクセス3千円(同一場所での複数人での同時視聴可)
WICIジャパン会員、ESG情報開示研究会会員、統合報告コミュニティ関係者、政府関係者、学生(社会人学生を含む): 無料 - 講師(敬称略): 住田孝之(住友商事株式会社)、加賀谷哲之(一橋大学)、村田 真理(年金積立金管理運用独立行政法人)、小倉 健宏(PwCあらた有限責任監査法人)、伊沢 千春(味の素株式会社)、息 えりか(伊藤忠商事株式会社)、鶴野 親是(シスメックス株式会社)、鈴木健治(特許事務所ケイバリュエーション)
キックオフ 開催趣旨
WICIジャパン統合報告セミナー キックオフ
統合思考と統合報告は、財務とサステナビリティを結合し、長期的な価値創造を明確に説明できるようになる経営手法です。その期待は、IFRS財団のIFRS S1, S2や、欧州のCSRD、ESRSが定まり、公表したことによって、世界中でさらに高まっています(※1)。
財務、気候変動、人権、人的資本、多様性、生物多様性、循環型社会、研究開発、ブランド、無形資産、知的財産権、マーケティング、IRはそれぞれ点として機能するのではなく、価値創造のために結合し、統合してこそ、顧客に価値を届け、社会や自然に関する目標に貢献でき、企業価値を高めます(※2)。
しかし、一瞬、価値創造ができたように思えても、他者が同じようにできてしまうなら、価格競争となり、十分なボリュームの価値創造を実現できず、見込んだ売上規模・利益率での事業を継続できません。社会や自然に関する目標への自社の貢献も、目指した質や量を実現できなくなります。
そうならないためには、その価値創造(できるビジネスモデル)が、他者ではできない、やりにくい、という点が重要で、そうした差別化の要素となるのがインタンジブルズです。
知的財産権はその典型ですが、差別化源泉は他にも多くあり、企業文化、リーダーシップ、チーム力、顧客・取引先や従業員との信頼関係、コア人材など、幅広いものがインタンジブルズに含まれます。人的資本もインタンジブルズです。このインタンジブルズには、会計上、資産として認識(計上)されないものも含みます。
そして、価値創造をするビジネスモデルと、インタンジブルズを中心とする差別化要素(資源)を、中期・長期に見通し良く統合的に整理できるのが、経営デザインシート(KDS)です。
価値創造によって、経営成績である財務的成果(利益)を得て、かつ、環境や社会にプラスのインパクトをもたらし、マイナスのインパクトを減らすとができます。その価値創造を生み出し、成長させ、継続させる資源が、自社の個性であるインタンジブルズです。
本キックオフでは、Day 1(11/27夜)に、世界が求める開示を振り返り(住田孝之様)、GPIFの運用受託機関が選ぶ「優れた統合報告書」から、投資家が考える統合報告を紹介いただきます(村田 真理様)。ESRS、GRI、IFRS S1およびIRフレームワークの「マテリアリティ」の定義をおさらいします(鈴木健治様)
Day 2(11/28午後)では、売上高利益率やPBRを通じて日本企業の経営を分析する加賀谷哲之教授からご講義いただき、公認会計士でサステナビリティアドバイザーの小倉 健宏様から「財務報告と統合報告、それぞれの役割」を解説いただきます。
今までのWICIジャパン統合報告セミナーにご参加をいただいた事業会社様から、シスメックス株式会社 鶴野 親是様、味の素株式会社 伊沢 千春様、伊藤忠商事株式会社 息 えりか様にご登壇いただき、自社の統合報告の取り組みについてご紹介いただきます。
本編となる経営デザインシートを活用する統合報告セミナーは、全5回で、2024年1月17日にスタートし、2024年5月23日の発表会で終了予定です。この全5回のWICIジャパン統合報告セミナーは、実際に経営デザインシートを作成しつつ、海外事例の分析や、KPIの使い方ワークなどを通じて、統合思考をスキルとして身につけて頂きます。
事業会社向けと、制作支援(監査法人・コンサルティング・制作会社)向けの2コースあります。詳細はまたご案内します。
11月27日、28日のキックオフの内容は、お申し込み者に録画配信もしますので、幅広い方にご視聴いただけることを、期待しております。
統合報告セミナー キックオフ
WICIジャパン会員、ESG情報開示研究会会員、統合報告コミュニティ関係者、政府関係者、学生(社会人学生を含む)の方は、こちら「WICIジャパン等 会員の方[無料]」からお申し込みください。
WICIジャパン非会員で、WICIジャパン統合報告セミナー2024(2024年1月から5月、全5回、事業会社向けコースと、支援会社向けコース)のお申し込み相談済みの企業の方(ご相談は、wici-j@kval.jp 鈴木健治までご一報ください)
その他、一般の方は、下記ボタンからPeatixのお申し込みページに移動し、チケットをご購入ください。
お申し込み期限: 2024年2月7日 21:00
お問い合わせ:
(運営 鈴木健治)wici-j@kval.jp
- 1申込で、会議室等にて複数人で同時視聴いただけます。
- Zoomへの接続環境はご参加者においてご準備・ご負担下さい。
Day 1 – 11月27日 18:30 – 19:50 プログラム
(講師の敬称略,演題は変更の可能性があります)
講師 | 時間 | 演題 |
[18:30から19:00] 住友商事株式会社 常務執行役員 住友商事グローバルリサーチ 株式会社 代表取締役社長 住田 孝之 | 30 分 | 世界が求める開示とは? |
[19:00から19:20] 年金積立金管理運用独立行政法人 ESG・スチュワードシップ推進部 ESG・スチュワードシップ推進課長 村田 真理 | 20 分 | 投資家が考える統合報告 ~GPIFの運用受託機関が選ぶ「優れた統合報告書」より~ |
[19:20から19:40] 特許事務所ケイバリュエーション 経営コンサルタント・弁理士 鈴木 健治 | 20分 | マテリアリティの概念整理と経営デザインシートによる統合思考 |
Day 2 – 11月28日 13:00 – 15:20 プログラム
講師 | 時間 | 演題 |
[13:00から13:30] 一橋大学教授 加賀谷 哲之 | 30 分 | 日本企業の知財・無形資産投資と価値関連指標の関係性 |
[13:30から13:50] PwCあらた有限責任監査法人 サステナビリティ・アドバイザリー部 シニアマネージャー 公認会計士 小倉 健宏 | 20 分 | 財務報告と統合報告、それぞれの役割 |
休憩 | 10 分 | |
[14:00から14:20] シスメックス株式会社 鶴野 親是 | 20分 | 長期的な成長と提供価値の創出 |
[14:20から14:40] 味の素株式会社 コーポレート本部 グローバルコミュニケーション部 レポーティンググループ長 伊沢 千春 | 20分 | 取締役会における議論活性化取り組みとその開示 |
[14:20から14:40] 伊藤忠商事株式会社 IR部 息 えりか | 20分 | 「企業価値算定式」を用いた伊藤忠商事の統合レポートについて |
(注・参考 文責鈴木健治)
※1 統合思考・統合報告への国際的な期待の高まり
(1) 日本の統合報告コミュニティ(リーダー住田孝之氏)では、2023年9月28日の会議にて、次のような意見があった。
・価値創造に焦点をあて、それぞれの企業が自社の特徴を表現していく、という統合報告の仕掛けに非常に意味がある。
・統合報告書を通じた企業価値の向上をボードで真剣に考えてもらいたい。
・取締役会がしっかりとマネージメントをモニタリングする。そのツールとして統合報告書は使える。
(2) 欧州では、CSRDが適用される欧州企業から、IFRS S1, S2でのコンサルテーションとして、次のように統合報告に言及する意見があった。
EUは、IFRS財団のIASBの「経営者による説明」と「統合報告フレームワーク」の使用を義務付けていないが、それにもかかわらず、これらのフレームワークは統合報告を準備するヨーロッパの多くの企業によって使用されている、と指摘し、統合報告フレームワークを含む基準を収束(コンバージェンス)すべきと述べられている(質問7Cへの回答等)。
(3) IFRS財団が開催しているIRCC (Integrated Reporting and Connectivity Council)の会議で、2023年11月9日、ビジネスリーダーによるパネルディスカッションがあり、パネラーは次のように述べていた。
・統合的に考えなければ、最終的には銀行の長期的な将来を短絡的に考えてしまうことになります。投資家との会話は短期的なものが優先されがちですが、統合思考や統合報告により、長期的な価値創造について明確に説明することができるようになりました。長期的な投資家にとっても私たちのキャピタル・ストーリーは重要テーマです(オランダの投資銀行CEO)。
・ROEやROICといった数字だけを語るのは簡単です。それだけでなく、なぜそのような目標数値を設定したのかという背景を投資家に説明し、理解してもらうために、資産やリスク、全体像の背景を統合報告で説明することが有用なのです。
そして、ディスクロージャーの目的は、実際に企業が成長し、社会のために価値を創造することです。統合思考や統合報告は、それを実現するためのツールです(日本メガバンク取締役会議長[社外取締役])。
・統合報告や統合思考は、報告や投資家とのコミュニケーションだけでなく、自社のビジネスやビジネスモデル、長期的な視点に立った価値の創造方法について、自分自身の見解を洗練させる上でも役立つ(ブラジルの銀行CFO)
※2 統合思考、統合報告と企業価値に関する既存の標準、基準、ガイドライン等
(1) <IR>フレームワーク(統合報告フレームワーク)は、「統合報告書は、 組織の短、中、長期の価値創造能力に実質的な影響を与える事象に関する情報を開示する。」ことをマテリアリティとしている。
(2) IFRS S1(サステナビリティ関連財務情報の開示に関する一般要件)は、第2パラグラフで次のように示している(仮訳)。
「企業が短期、中期、長期にわたってキャッシュ・フローを生成する能力は、バリューチェーンのなかで、企業、そのステークホルダー、社会、経済、自然環境と関連して密接に相互作用する。企業とそのバリューチェーン全体の資源及び関係性は、一体となって、企業が活動する相互依存システムを形成している。だからこそ、サステナビリティのリスクおよび機会に関する情報は、主な報告利用者に役立つ。
事業体がこれらの資源および関係性に依存し、またそれらに(正負の)インパクトを与えることは、企業のサステナビリティに関するリスクと機会をさらに引き起こす。」
ISSB議長エマニュエル・ファベール氏は、2023年11月9日のIRCC会議にて、IFRS S1の第2パラグラフは統合思考の原則を深く説明するもので、基準の核であって、全体の上位に位置づけられるものだと強調した。
(3) 経済産業省「価値協創ガイダンス 2.0」は、「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス 2.0」であり、「投資家との対話を通じて価値創造ストーリーを磨き上げる価値協創を加速」させるべく、統合思考による経営と開示を推奨している。
(4) 株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」は、企業と株主の対話について次の原則を掲げている。
基本原則5 上場会社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。
そして、取締役会が開示すべき事項として、「補充原則 5−1②(ⅱ) 対話を補助する社内のIR担当、経営企画、総務、財務、経理、法務部門等の有機的な連携のための方策」とし、各部門の有機的な連携(統合思考による経営)を期待している。
(5) 投資家側からも、例えば年金積立金管理運用独立行政法人は、「スチュワードシップ責任を果たすための方針」にて、GPIFは資金規模が大きく、資本市場全体に幅広く分散して投資する「ユニバーサル・オーナー」であり、100年を視野に入れた年金財政の一翼を担う「超長期投資家」であることから、企業と投資家のエンゲージメントに次のような期待を表明している。
「運用受託機関に対しては投資先企業・発行体との間で、持続的な成長に資する「建設的な対話」(エンゲージメント)を促進しています。エンゲージメントによって長期的な企業価値が向上し、経済全体の成長につながれば、GPIF は投資リターンの改善という恩恵を受けられます。」