企業情報開示をめぐるグローバルな動き-2021年9月14日時点
IFRS財団
◆ 2021年5月 Management Commentary (経営者による説明)についての公表草案公表。コメント期限は2021年11月23日
企業の年次報告において財務情報を補完するものとしての記述情報の開示内容についての枠組み。適用は任意。企業業績や財務状況および価値創造やキャッシュフローの創出に影響する要素についての経営者による認識を示すものという位置づけ。それぞれの内容を開示する目的を整理している。Resources and relationshipにおいては無形資産等の開示目的についての言及あり。
https://www.ifrs.org/projects/work-plan/management-commentary/#supporting-material
◆ 2021年4月 Consultation Paper on Sustainability Reporting(コメント期限2020年12月末)へのコメントに対する財団のフィードバックを公表。新しく設立されるボードにおいては気候関連の報告を優先的に取り組むとする。
Feedback Statement on the Consultation Paper on Sustainability Reporting
https://www.ifrs.org/projects/work-plan/sustainability-reporting/#consultation-feedback
Value Reporting Foundation
◆ IIRCとSASBが2021年6月に合併して設立を公表。
https://www.valuereportingfoundation.org/
参考:非財務基準設定主体の連携と Value Reporting Foundation (VRF)設立、経済産業省研究会における森洋一氏発表資料
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/hizaimu_joho/001.html
欧州委員会
◆ 2021年7月12日 EU Platform on Sustainable Financeによるレポート2本の公表。タクソノミー規則において2021年12月31日までにタクソノミー規則の拡大についてレポートすることが求められており、それに対応したレポート。コメント期限は、2021年9月6日
- 気候タクソノミー拡大についてのパブリックコンサルテーションにおいては、①(環境に)Significant Harm(SH)とされる活動についてさらに定めること、②SHと(環境に)Substantial Contribution(SC)とされる活動の間をIntermediateとし、SHからIntermediateに「移行」する活動についてもタクソノミーの対象とすることを提案。
- ソーシャルタクソノミーについては、同タクソノミーを作ることを提案。社会的投資を行うニーズが高まっていることなども根拠とする。環境タクソノミーの構造を出発点としつつも、垂直的な側面(活動そのものが社会的な効果を有する。上下水道、食料、住居、ヘルスケア、教育といった人間の基本的な要求へのアクセスを向上させる物やサービス等)と水平的な側面(ある活動による経済活動横断的な効果。Decent work、消費者利益の向上、インクルーシブでサステナブルなコミュニティの観点から行うべきこと)の両側面から検討している。今後、垂直的側面については、住居とヘルスケアについてSCとDNSH(Do no significant harm)について定義すること等を計画。水平的側面については活動ベースの基準を検討するとともに、economic entities別のメトリクスを開発すること等を計画。
https://ec.europa.eu/info/publications/210712-sustainable-finance-platform-draft-reports_en
◆ 2021年4月21日 非財務情報開示指令(Non Financial Reporting Directive)の改正となるCorporate Sustainability Reporting Directive案公表。開示する企業への影響と、人々や環境に与える影響の両方の観点からのマテリアリティを考慮することを求める(ダブルマテリアリティ)。現行のNFRDとは異なり、非上場企業であっても大企業であれば対象となる。
◆ タクソノミー規則
気候変動緩和、適用や循環型経済への移行といった環境目的を定義し(9条)、環境的にサステナブルな経済活動の分類を行うための枠組みを定めた規則。セクターごとの分類や「グリーン」とみなされるための基準(二酸化炭素の排出量上限等)はDelegated Act(委任立法のようなもの)として欧州委員会がタスクフォース等の検討をもとに決定している。
タクソノミー規則及びDelegated Actが入手できるサイトはこちら
https://ec.europa.eu/info/law/sustainable-finance-taxonomy-regulation-eu-2020-852_en
なお、以下のサイトにあるFAQが概要を知る際に便利。
◆ 2018年3月 Sustainable Finance Action Plan
2018年3月策定。以下のリンクは、2020年8月に改訂されたもの。ファイナンスとサステナビリティをつなぐ包括的な戦略をまとめている。上記タクソノミー規則等も本計画の一部。
https://ec.europa.eu/info/publications/sustainable-finance-renewed-strategy_en
EFRAG
◆ 2021年8月21日 ディスカッションペーパー Better Information on Intangibles公表。財務報告の観点からの企業内部で形成された無形資産について検討。コメント期限は、2022年6月30日
米国SEC
◆ 2021年3月15日 Climate Change Disclosureについての意見募集(コメント期限2021年6月15日)
https://www.sec.gov/news/public-statement/lee-climate-change-disclosures