2026年 年頭所感
WICIジャパン 常務理事 住田孝之
2026年1月
WICIジャパン 常務理事
住田 孝之

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?新しい年を迎えるにあたり、一言ご挨拶申し上げます。
昨年のはじめに、グリーン関連ビジネスやサステナビリティに関連する世界の変化について、申し上げました。予想どおりというか予想を超えて、米国におけるトランプ大統領の就任とその矢継ぎ早の政策が、変化のスピードを加速させたのが2025年でした。今や米国においては、ESGやサステナビリティという言葉自体を発することがリスクを伴うような異様な状態になっており、あれだけ熱心に様々な仕組みを作ってきた欧州においても、仕組み自体を大きく見直す事態になっています。
そんな中で、本当に大切なことは何なのかを、今一度問い直すような動きが、世界の有識者や心ある人たちの間で出てきつつあるのではないかと観察しています。米国発のアンチESGの流れの中で、ESGやサステナビリティに関連する膨大な個別の数値の開示を企業に求めて、それを投資家やアナリストが一律に評価することが、期せずして、忌避されるようになっています。
それでも企業を評価する人たちには、何かの手がかりが必要です。その要請に応えることができるのが、まさに統合思考に基づく企業の価値創造ストーリーとその持続性に関する説明であることに、多くの人が得心しつつあります。
この流れの発端は、言うまでもなく、2004年以来経産省が始めた「知的資産経営」の発想であり、その開示メカニズム(ガイドライン)です。大変残念なことに昨年夏に逝去された当時早稲田大学の花堂先生と一緒に手掛けてきたこの発想と実践が、世界で認められつつあるということにほかなりません。そして、知的資産経営の成否のカギを握るのが、個々の企業固有の知的資産、インタンジブルズです。一昨年11月にWICI(特に欧州)がリードして立ち上げたSII(Strategic Intangibles Initiative)は、世界の多くの関係団体を巻き込んで、昨年精力的に会合を開催し、今年はいくつかのWGを作って考え方をまとめていく予定です。
この動きには、IFRS財団も関与していますが、IFRS財団がより強い関心を示しているのは、日本において、統合報告や統合思考が根付き、個々の企業の価値創造ストーリーが自発的に開示されて、その質も向上していることです。
いよいよ、日本企業らしい、目先の利益だけではない、様々な持続的な価値を重視する経営が、よりその解像度を上げて、世界に認められるときが近づいているように思います。長年、地道に積み重ねてきたことが、より大きなインパクトを世界にもたらすことを期待して、一年をスタートさせたいと思います。その実現には、みなさんのご理解、ご協力、具体的な活動が必須です。よろしくお願いいたします。

