WICIシンポジウム2024のご案内(開催趣旨)
わが国では、企業を始めとした組織における様々なステークホルダーへの価値創造ストーリーを語る統合報告が始まって既に10年以上の時が流れました。2013年に旧IIRCの統合報告フレームワークが公表され、当時はまだ100社未満の企業が発行するにとどまっていた統合報告は、2023年には1,000社を超え、日経225を構成する上場企業のうち208社が既に統合報告書を発行するまでになっています。
そうした中で統合報告の生みの親ともいえるIIRC(国際統合報告評議会)は2021年6月にSASB(サステナビリティ会計基準審議会)とともにVRF(Value Reporting Foundation)に統合され、さらに2022年7月にはVRFが持つリソースの所有権がIFRS財団に譲渡されたことで、その後はISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が旧IIRCと旧SASBの基準の進化と強化の責任を引き継ぐことになりました。一方、欧州委員会は2023年7月にESRS(欧州委員会が欧州サステナビリティ報告基準)とGRIスタンダードとの整合性を表明し、世界のESG情報を始めとしたサステナビリティ情報の開示の潮流は、所謂シングルマテリアリティを標榜するISSBとダブルマテリアリティを掲げるEUとの2つの流れが生まれることになったといえそうです。
こうした中で、2022年から始まった反ESGともいえる投資家の動きは、米国におけるウォーク(woke)論議とも重なり、社会の分断ともいえる現象や米国大統領選挙にも影響するほどのテーマにも連なっているように思われます。そうしたいわば二律背反の現象が生まれる中で、統合報告のベースとなる統合思考とは、様々なステークホルダーの価値の向上とそのトレードオフを考慮してバランスの取れた経営を促すものといえます。日本では古くから「三方よし」とか渋沢栄一の『論語と算盤』にみられる価値の社会性に注目する思想や理念は尊重されてきました。そうした日本文化こそ統合思考経営に通じるものではないか、という考え方も尊重すべきではないでしょうか。
そこで、統合報告が目指す統合思考経営が組織の成長と社会の持続可能性につながるよう、日本企業は今一度自らの価値創出の力を見直し、株主を始めとしたステークホルダーとどのような情報を共有して、どのような対話をしていくべきなのか。またそのための情報ツールとしての統合報告は今後のどのように進化していくべきなのか。その統合報告の枠組み自体が国際的な流れの中でどのように位置づけられることになるのか。WICIシンポジウム2024では、こうした難題について、企業サイド、投資家サイド、アカデミックの分野の方々、グローバルな標準セッターなど広く関係者の方々にお集まりいただき、一緒に考えていきたいと思います。
統合思考経営によりサスティナブルな成長を目指す企業の皆さま、非財務情報の開示に関心をお持ちの皆さま、統合思考経営や有益な開示をサポートしたい投資家及びコンサルティング会社の皆さま、この分野に興味をお持ちの研究者の皆さま、是非12月11日には、1927年に竣工した重要文化財である早稲田大学大隈大講堂に集まりください。
なお、今年もWebでの配信を予定しておりますので、国内、世界のどこからでも各セッションのご視聴やご質問が可能です。多数の皆様さまのご参加を心よりお待ちしております。
一般社団法人 WICIジャパン
代表理事 北川 哲雄
開催概要
WICI Symposium 2024 これからの統合報告はどこに進むのか~日本企業の価値創造ストーリーとは | |
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主催 | World Intellectual Capital Initiative(WICI) 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター |
後援 | 経済産業省 ESG情報開示研究会 大阪大学社会ソリューションイニシアティブ 国際会計研究学会 日本ベンチャー学会 |
協賛 | <ゴールド・スポンサー> 株式会社ウィルズ、株式会社リンクコーポレイトコミュニケーションズ、株式会社ファルコン・コンサルティング <シルバー・スポンサー> 株式会社インベスター・インパクト、株式会社ICMG <ブロンズ・スポンサー> 株式会社バリュークリエイト、株式会社IMCブランディング、PwC Japan有限責任監査法人、有限責任 あずさ監査法人、太陽有限責任監査法人 |
開催日 | 2024年12月11日(水) |
会場 | 早稲田大学大隈大講堂及びオンライン配信でのハイブリッド開催 |