WICIシンポジウム2021のご案内(開催趣旨)
2020年のノーベル平和賞は、食糧などの人道支援を目的に1961年に創設された国連食糧計画(WPI)が受賞しました。また、世界各地で大規模な自然災害も多発し、気候変動問題が益々クローズアップされる中、米国のバイデン新大統領は本年1月の就任初日に、トランプ政権で離脱したパリ協定の復帰を決め、環境関連の規制見直しなどを関係省庁に指示する大統領令に署名しました。こうした動きと共に、世界中の人々の間でESG、SDGsというテーマがさらに強く意識されるようになり、企業の活動やガバナンスにも大きな変化が見られます。脱炭素問題に大きな影響力を持つ石油メジャーでは、5月にオランダ・ハーグの裁判所がロイヤル・ダッチ・シェルに対し、2030年までに温室効果ガス排出量を2019年比で45%削減を命じる判決を言い渡し、米国でもエクソンモービルの株主総会で少数株主であるアクティビストが推薦する環境科学者などが、経営陣の強い反対にもかかわらず取締役に選任されました。一方でCSRの優等生と言われてきた仏ダノンのCEOが、業績不振を背景とした株主からの圧力により解任されるなど、世界中の企業にとってのESG課題は益々複雑化しているように感じられます。
今、正に求められているのは、企業活動が生み出す財務・経済面での価値と社会・環境面での価値のバランスをいかに取るべきかという問いへの対応だと思われます。そしてこうした情報を企業がどのように報告するかに関して、国際的な仕組みづくりが急速に動いています。欧州では4月に企業のサステナビリティ報告指令案が示され、環境・社会面を重視した報告ルールが作られようとしています。一方でIIRCとSASBは6月に統合してVRFとなり、IFRSが協力しながら、ISSB(国際サステナビリティ標準理事会)が設立されようとしており、そこでは財務面での企業価値を重視した報告の標準が作られようとしています。
WICIは以前から無形資産(インタンジブルズ)に焦点を当ててきました。組織が財務面での価値を生み出すことにおいても、社会・環境面での価値を生み出すことにおいても、組織中でそれを可能にするにはインタンジブルズが鍵となります。今後、欧州やIFRSの動きが別々のルールとなり企業にとっての情報開示コストが増すことを避けるには、インタンジブルズに注目することの意義は大きいと言えるでしょう。そこで今年のWICI Symposium 2021では「価値の報告とサステナビリティの報告をつなぐインタンジブルズ」をテーマに、様々な価値とサステナビリティとの関係を含めたレポーティングのあり方や、組織の価値創造を支える「見えない資産」を始めとした非財務情報について、立場や専門性の異なる登壇者にお集まりいただき、参加者の皆様と共に議論を行うことといたしました。
「統合思考経営への転換や統合思考の更なる推進」「経営のマテリアリティの特定」「ESG投資のための有益な情報」「サステナビリティを推進するための戦略やKPI」など、我々に突き付けられた21世紀の喫緊の課題についてご関心のある皆さま、是非とも、来る12月5日(日)にWICI Symposium 2021にお集まりください。
なおCOVID-19の感染状況を踏まえ、今年のシンポジウムもWebでの配信を予定しております。国内、世界のどこからでも各セッションのご視聴やご質問が可能です。
皆さまの積極的なご参加を心よりお待ちしております。
開催概要
WICI Symposium 2021 価値の報告とサステナビリティの報告をつなぐインタンジブルズ | |
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主催 | World Intellectual Capital Initiative(WICI) |
後援 | 経済産業省 / Value Reporting Foundation / 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター 知的資本研究会 / 日本ベンチャー学会 / 大阪大学SSI / 一般社団法人ESG情報開示研究会 |
協賛 |
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開催日 | 2021年12月5日(日) |
会場 | ライブ配信 |